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銀行の貸借対照表公告

佐藤

I. はしがき

本誌の第224225号合併号で, 私は 「株式会社の貸借対照表公告」と題し、 銀行や保険会社を除く一般株式会社の財務諸表につき, 商法規定や公告問題を 説述したが,本稿では, 銀行貸借対照表の公告問題をとりあげることにした。 すなわち,まず,銀行の貸借対照表公告に関する法律規定の変移について述べ、 次に、新聞に掲載された貸借対照表公告の現状を分析的に示し、 銀行のように 形式が大体統一されている場合でも,新聞紙に公告されている形式が,いかに 千姿万態であるかという事実を明示し, 信用機構下における金融機関の中枢に 位する全国銀行経営者に対して, その改善を促そうと企図したものである。

II. 銀行条例・同施行細則の公告規定

わが国の普通銀行が, 毎決算期に, 財務諸表の公告を法律によって強制され るに至ったのは, 第1回帝国議会が開催され, 教育勅語が下賜された明治23年, すなわち, 同年8月25日法律第72号をもって公布された 「銀行條例」(明治26年 施行)からで、同条例には次のような規定があった。

第四條 銀行ハ每半箇年財産目錄貸借對照表ヲ製シ新聞紙其他ノ方法ヲ以テ之ヲ公告

スペシ

上掲条文を見れば分るように, 「銀行條例」では, 同じく明治23年3月27日

法律第32号をもって公布された 「舊商法」 と同じく, 財産目録の公告をも義務 付けていたのである。

〔参考〕「銀行條例」は全十一條から成り, 日本銀行, 横濱正金銀行, 國立銀行には適

用されなかつた。

しかるに, 明治33年1月15日法律第5号をもって公布された 「銀行條例中改 「正ノ件」により, 第四条中から財産目録が削除され, 貸借対照表の公告のみを 義務付けることになった。 これは, 前年の明治32年に公布された, その当時に おける 「新商法」 において財産目録の公告義務が削除されたことと同一の理由 によるものと思われる。 参考までに、 明治33年改正の条文を示せば次のごとく である。

第四條 銀行ハ毎年半年貸借對照表ヲ製シ新聞紙其他ノ方法ヲ以テ之ヲ公告スペシ さて,日清戦争が勃発した前年の明治26年5月1日, 大蔵省令第7号 「銀行 條例施行細則」 が公布されたが,その第三章 「報告及ヒ公告」 第二十五条と第 二十六条には、 貸借対照表の公告に関して次のような規定が設けられた。

第二十五條 銀行ハ前條ノ 報告書 ヲ 發送スルト同時= 銀行條例第四條ノ公告ヲ爲スへ

第二十六條 銀行ノ營業所アル地方=於テ刊行スル新聞紙アルトキハ他地方新聞紙 =公告スルト否ト=拘ラス所在地方新聞紙=公告スルヲ要ス

銀行ノ營業所アル地方=刊行ノ 新聞紙ナキトキハ最寄地方又取引先多キ地方ノ新聞 紙 公告シ尚營業所ノ店前=掲示シテ公告スヘシ

なお「銀行條例施行細則」は明治32年6月全面的に改正され、改めて大蔵省 令第24号をもって全17条からなる 「施行細則」 が定められ、 大蔵省令第7号に よる「施行細則」 は新しい省令施行の日より廃止されたが, 新しい 「銀行條例 「施行細則」では, 貸借対照表の公告に関して特に規定はない。

III. 銀行法・同施行細則の公告規定

昭和2年3月30日法律第21号をもって「銀行法」 が公布されたが(昭和2年勅 令第326号により昭和3年1月1日より施行), 貸借対照表の公告義務と公告方法の

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